研究概要 |
1.全国職業資格協議会(NCVQ)が開発した全国職業資格(NVQ)の枠組(フレーム・ワーク)は第1〜4レベルの4層構造で出発したが、その後第5レベルも開発され、5層構造となった。 2.1992年5月の総選挙の際にメージャー首相が「障壁のない社会」(a society without barriers)の実現を公約したのを受けて、従来、明確に分離されていた学術的(アカデミックな)領域と職業教育・訓練的領域とを統合することがめざされ、新たに一般的全国職業資格(GNVQ=General National Vocational Qualification)が導入され、同年9月から90校の中等学校や継続教育カレッジの8,000名の生徒を対象に、先導試行的コースが開設された。 3.GNVQは第1〜4レベルの4層構造であるが、5層構造のNVQの第1〜4レベルと対応し、各レベルで上級材関への進学資格としても、雇用のための職業資格としても、用いられることになっている。 4.1988年教育改革法によって5-16才の義務教育段階のナショナル・カリキュラム(全国共通教育課程)が導入されたが、その後16-19才のカリキュラムをどうすべきかに重点が移されつつある。普通教育と職業教育の両者に共通する中核的内容の考察がなされている。 5.1992年9月に30校のポリテクニクが大学に昇格したが、その後16-19才の段階では、普通教育のシックス・フォーム・カレッジとターシャリ・カレッジをはじめとする継続教育カレッジの多くが地方教育当局の所管から独立し、同一の予算配分材関の下にまとめられた。 6.1993年1月1日にEC市場統合が実現したが、今年の秋と見込まれる英国によるマーストリヒト条約の批准が実現されれば、職業資格のみならず職業教育・訓練の内容も、EC全体としての調整は不可避的となり、イギリスでも現行制度の修正が求められることになる。
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