平成3年度の研究計画にもとづき、米国各州の教科書行政関係判決例及び関係制定法規定を分析したところ、関係判決例に関しては、全米において、およそ200件の関係争訴事件が存在しており、それらの事件は、大別して、6つの領域に分類できることが判明した。現在、これらの分類にもとづいて各領域ごとの基本的原理を整理分析中である。 制定法規定の分析においては、各州間において極めて多様な規定が看取され、目下、その分類整理のためのフレ-ム作りを作業中である。 これらの分析に加えて、当初予想していなかった別次元の研究の方向性を発現し、今後の研究に新たな進展の可能性を見出すことができた。すなわち、それは、各州間にある多様な教科書行政システムを真に理解するためには、その展開・変容過程の史的分析をも包摂した総合的研究が不可欠であり、その分析考察を持って初めて個々の州に所在するそれら多様なシステムの必然性や生成要因さらにはその背景にある制度的理念などの解明も可能となることが判明した点である。 そこで、現在、上述二つの研究分析に加えて、この歴史的研究も並行して試みており、その具体的成果は、裏面の雑誌論文において論及している。
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