研究課題/領域番号 |
02610134
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
上林 靖子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 部長 (50132874)
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研究分担者 |
和田 香誉 埼玉県立衛生短期大学, 保育学部, 講師 (40201256)
北 道子 国立精神, 神経センター精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 室長 (60214780)
藤井 和子 国立精神, 神経センター精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 室長 (00181305)
中田 洋二郎 国立精神, 神経センター精神保健研究所・児童・思春期精神保健部, 室長 (20106214)
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キーワード | 注意欠陥障害 / 多動症候群 / 行動観察 / 評定 |
研究概要 |
注意欠陥障害や多動症候群といった子どもに最初に出会うであろう教師群と、精神科医・小児科医・臨床心理士・ケ-スワ-カ-といった臨床家群で、その子どもの行動の観察の仕方に差異があるのかどうかを検討した.ビデオテ-プに映っている8人の子どもに対する行動評価を28項目のチェックリストを用いて行なった。どの子どもに関しても、教師群の評価点の方が臨床家群よりも高かった。(個人場面の行動に対しても集団場面の行動に対しても)が、全体のパタ-ンは類似し、教師群と臨床家群の相関は高かった。両者に差異が出る傾向があるものは、中等度に多動のある児の集団場面に対する評価においてであった。行動評価をした後で、その子どもを多動と思うかどうかを評定者に尋ね、その判断に対してどの項目が影響を及ぼしているかを検討した。対象となっている子どもによって差があるが、教師群が比較的重視している項目は「他の子ども達を突くかもしくは叩く」(集団)「他の人たちの邪魔をしたり割り込む」(集団)などである。臨床家群の方で重視しているのは「手か足をもじもじさせるか、椅子に座ってそわそわしている」(個人)などである。注意欠陥障害や多動症候群によくみられる行動の不注意、衝動性、落ち着きのなさ、破壊性などは、ある程度どの子どもにもみられる行動である。単にそれらの行動が存在するから多動とみなされるのではなく、発達的にみて不適当なほどの強度、頻度、あるいは持続時間などを考慮した評価に基づいてなされていたと思われる。この判断に関して、上記のように教師群の方が臨床家群より各々の行動があると高めに評価する傾向があったが、類似性も高いという結果であった。
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