研究課題
多動や注意欠陥障害の診断について、DSMIIIRは14の基準項目をもうけ、その8項目以上に該当するという基準が設定されている。親が提供するこれらの項目についての情報が臨床家の判断とどのくらい一致しているかを、74例の事例について検討した。その結果、総得点では、親は臨床家よりも高い得点を与えているが、両者の評価の相関は0.70とかなり強い相関があるということができた。個々の項目別に両者の評価の相関をphi係数によって検討した。0.25から0.69にわたり、4項目では両者の評価は弱い関連にとどまっていた。昨年に引き続き一般児童における注意欠陥・多動に関連する行動の出現状況を対象年齢を4から12才に拡大して1047人についてのデーターを得た。この尺度の得点の年齢にともなう変化は性別により異なり、女子では4-6才から7-9才にかけて減少するのに対し、男子では7-9才から10-12才にかけて減少がみられた。因子分析の結果3つの因子が抽出された。第1因子は不注意、第2因子は過活動と衝動性、第3因子は過剰な言語活動である。これらの3因子は年齢による特徴的な変化がみられた。したがってこの障害の評価には年齢・性別を考慮すべきであるといえる。WISCRを中心に心理テストからみたこの障害の認知構造の特徴を捉えるために、児童精神科を受診した臨床事例について検討を行い、診断の手がかりとなり得るいくつかの下位尺度の特徴を見いだした。また臨床群の中で、障害部位を特定できる症例における行動特徴を調査し、比較検討した。又知能、言語の障害と比較し可塑性の観点からも考察した。ソーシャルワークの立場から、注意欠陥多動障害の小3の事例の検討を行った。児が学校家庭近隣社会と広範にわって不適応を引き起こす要因を整理した。
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