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1990 年度 実績報告書

古代天皇系譜と氏族始祖伝承に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 02610164
研究機関大阪府立工業高等専門学校

研究代表者

黒田 達也  大阪府立工業高等専門学校, 一般教養科, 助教授 (30149942)

研究概要

『古事記』『日本書記』にみえる人名及び神名とそれぞれの名の形態をもとに,「某+ヒコ」「某+ミミ」「ヒコ+某」「某+タラシ」「某+ワケ」などに分類し,それぞれの系譜の形成過程を検討すとともに,それらの形式の人・神名と諸氏族とのかかわりを追求している。その結果、『古事記』『日本書記』に伝えられる系譜が形成される前に,和珥氏や蘇我氏などによって系譜が形成,あるいは改変されていたことが,具体性をもって指摘しうるようになった。系譜の復原を通して,固形式の人・神名が6世紀中葉前後の段階において,密接なつながりを有するものとして王統譜に位置づけられていたことが推定できるようになった。とりわけ重視して検討を加えたのが「ヒコ+某」形式の人・神名であるが、それぞれの人・神名と関係する后妃や氏族,その他説話を含む伝承を勘案したことにより,和珥氏系とのつながりが極めて大きいことが判明した。また,この「ヒコ+某」形式の神・人名の本来の系譜関係については,6世紀段階の現実に存在した継体・安閑・宣化・欽明・敏達の系譜をもとに造作されていたことがほぼ確定的に言えるようである。『古事記』『日本書記』にみられる系譜にどのようにして定着するにいたったかは未だ検討中ではあるが,「某+ミミ」の神・人名と関係が深いことが明らかとなったことから,この「ミミ」系譜の変改がまず問題であること,次いで和珥氏と対立的存在であった蘇我氏による変改が推測できる。なお,両「某+ミミ」の神・人名は多氏と密接な関係を有したことが明らかとなったことから,ほとんど実体が伝えられていない多氏について,和珥・蘇系氏と勢力を争えるほどのものであった可能性が出てきており,6世紀前半以前の倭政権の構造を考える新たな課題も設定できそうに思われる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 黒田 達也: "「ヒコ+某」形式の人・神名をめぐって" 大阪府立工業高等専門学校研究紀要. 25. (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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