1:フロ-テション用土壌洗浄装置を小型化し、最低人員1名でも操作出来るように改造した。この結果、通常の壌土の場合、1日1人6時間の作業で30〜50lの土壌を処理出来る事が確認された。 2:札幌市周辺における西暦8世紀末から10世紀にかけての擦文時代遺跡から採集された土壌を処理、アワ・キビの炭化種子検出に成功した。青森県下においては、八戸市教育委員会の支援により八幡遺跡の砂沢式土器住居(弥生時代前期後半)から採取した土壌よりアワ・ヒエ・キビ・コメが検出され、東北北部の当該時期は地域により雑穀の量が予想外に多い事を確認した。また、青森県東北町教育委員会の支援により、内蛯沢蝦夷館で発掘された10世紀後半の竪穴住居から炭化種子が採取され、アワ・ヒエ・コメ・オオムギの存在が確認された。 3:岡山県立博物館ならびに福岡県教育委員会の好意で炭化種子が送付されてきたので調査した所、弥生時代からコメ・マメなどが、西暦10世紀代の層準からはオオムギ・コムギなどが多数検出された。このうち、コムギはTriticum compactum HOSTに類する小型のもののみで、北海道や東北で検出されているものと形態的には親縁関係のものである事がつきとめられた。日本列島に対するムギ類の流入に関して、今後の研究目標が得られた。 4:各地出土の炭化種子を走査電顕で撮影し、全体の形態および細胞構造の検討可能な拡大撮影を行ない、デ-タ・ベ-ス用のネガとプリントを800コマ作成しファイルした。
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