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1991 年度 実績報告書

江戸時代の能楽に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 02610205
研究機関早稲田大学

研究代表者

竹本 幹夫  早稲田大学, 文学部, 助教授 (90138181)

キーワード能役者 / 諸藩の能 / 家元制度 / 南部藩の能 / 江戸幕府の能 / 鍋島藩の能 / 浅野家の能 / 津軽家の能
研究概要

本年度は、前年度から継続していた岩国徴古館の能関係文書の調査・収集をほぼ完了したほか、盛岡市中央公民館蔵南部家文書等、岩手県立図書館、広島県文書館、国立史料館津掛家文書、内閣文庫(国立国文書館)などで、能楽関係資料の調査を行なった。うち内閣文庫・史料館については明年度も継続的に調査の予定である。
本年度の研究成果の第一は江戸幕府の能制度確立の時期をほぼ確かめえたことであり、さらに地方の能と中央の能とが一体であるという封建制度下の能の実態や、その一方でその土地独自の能文化ともいうべきものも存在していたことについても、いくつかの知見を得ることが出来た。
内閣文庫蔵『柳営日次記』は、徳川家綱の治世から幕末にいたる幕府の公用日記であるが、能の研究者には従来まったく知られていたかった。今回の調査によれば、『柳営日次記』には能役者に関する、賜暇・恩賞家督等の人事記録がきわめて豊富であり、所引の能番組には従来の諸資料の欠を補う点が甚だ多いという、好資料であることがわかった。それを克明に見ていくと、明暦の大火を境に能役者に対する管理強化が幕政の一環として行なわれ、それによって能制度が確立され、能が式楽化していく過程が理解されるのである。こうして確立した能制度は、時代が下るとともに地方諸大名家にも浸透し、例えば江戸後期の三原浅野家における藩主の催す能楽の運営は、幕府における将軍の私的演能の運営法の模微ともいうべきものであった。こうした将軍家・幕府の制度の模微は、多くの大名家に共通するところである。ところが佐賀鍋島家においては、中世以来伝存していた美麗田楽の座が、当時はすでに猿楽座になっていた可能性もあるものの、在地の芸能座として藩公の祝賀に際しては演能に先がけて囃子を奏し、専ら祝言奉呈の貢を担うという独特の慣習を守っていた。このような独自性もありえた点に今後も注目したい。

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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