本研究の最終目標は、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の54年3ヵ月のの生涯を可能なかぎり克明に調査し、彼の軌跡を月日単位で詳述した年表形式によるハーン伝の編纂を目指すことにある。 本研究では、彼の日本時代に焦点を絞り、滞日14年5ヵ月間に著わした全著作とハーン自身及び彼をめぐる人々の書簡を基本資料として、彼の日本滞在の足跡をつぶさに辿り、日々のいとなみを詳細綿密に再現しながら、題材収集の経緯、作品の制作過程、思想の推移などを浮き彫りにした。 1.基本文献の調査 既刊の全著作集、草稿・書簡、ハーンをめぐる人々の書簡・日記、当時の新聞・雑誌記事等などの第一次資料の精読を行ない、彼の思想および行動の軌跡を考証した。 2.資料の閲覧と収集 ハーン関係の資料を豊富に備えた次の機関で資料を閲覧・収集し、整理を行なった。 富山大学、島根大学、熊本大学、東京大学、天理大学、松蔭女子学院大学各図書館、小泉八雲記念館、島根県立図書館、新宿歴史博物館、横浜開港資料館 3.実地調査 ハーンゆかりの地を踏査し、著作との事実関係の検証を行なった。 出雲大社、三保神社、八雲旧居(松江、熊本、神戸、東京)、松江近郊の神社仏閣、隠岐諸島、博多、太宰府、末慶寺(京都)、焼津 4.成果の発表 成果を集大成して、A4版約400頁の報告書にまとめた。主要点:1、初の年表形式による詳細なハーン伝2、人間ハーンの実像の活写3、題材収集の経緯および作品の製作過程の解明4、定説の見直しと誤謬の訂正5、ハーンの活動の空白部分を埋める新説と新事実の発見
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