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1991 年度 実績報告書

英米文学にみるユダヤ人関連のメタファ-ー非寛容と寛容の交錯

研究課題

研究課題/領域番号 02610218
研究機関法政大学

研究代表者

河野 徹  法政大学, 第一教養部, 教授 (40061080)

キーワード『新約聖書』 / パウロ神学 / サタン / ミステリ-・プレイ / 「女子修道院長の話」 / バラバス / シャイロック / フェイギン
研究概要

平成3年度は本研究の中間年度に当たり、ロマン派詩人あたりまで論述を展開するつもりでしたが、序章となる「パウロ神学の影響」や中世イギリスにおけるユダヤ人の歴史をまとめるのに手間取り、結局「文学的ユダヤ人像の形成」という主題に関しては、聖書劇(mystery plays)、からチョ-サ-、シェイクスピアまで論述を進めてきたところで、紀要の制限枚数を大幅に超過してしまいました。400字詰め75枚の論文は「中・近世英文学にみるユダヤ人像(1066ー1600)」という表題で、『法政大学教養部紀要通巻81号 外国語学・文学編』(1992年2月刊)に掲載されました。
上記論文では、まず反ユダヤ主義の神学的基盤を解明することから始めました。パウロの思想を初期教会の教父らが恣意的に変形し、その変形された教義の不可欠な一部として、反ユダヤ主義がどのように中世イギリス社会に浸透したか、その過程を宗教史的、経済史的に辿ることで、研究全般に通じる貴重な展望を得ることができました。
当時の宗教劇、とりわけコ-パス・クリスティ祝祭劇に接して、その放埒なユダヤ人憎悪に衝撃を受けましたし、チョ-サ-作『カンタベリ-物語』中の「女子修道院長の話」の解釈をめぐって、内外の学者たちにユダヤ史への配慮が欠けていることを確認しました。シェイクスピア作『ヴェニスの商人』に関しても同様です。反面チョ-サ-やシェイクスピアのように透徹した人間観察ができる作者であれば、反ユダヤ的偏的を当然視する時代的背景にもかかわらず、周囲の独善と偽善をかなり挑発的に照射できることを再認識しました。
終了年度に当たる平成4年度は、近代に入って反ユダヤと親ユダヤに分極化した“dual image"について文学的歴史的、宗教的な考察を試みる所存です。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 河野 徹: "中・近世英文学にみるユダヤ人像(1066ー1600)" 法政大学教養部紀要 外国語学・文学編. 81. 1-26 (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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