研究概要 |
(1) 京都府綾部市立図書館所蔵の「丹後田辺藩裁判資料」の調査とマイクロ撮影を平成2・3年度におこなった。資料の中核をなす「訴状及判決書薄冊」だけでなく、従来内容検討がおこなわれていなかった「公事出入吟味伺進達控」関係について調査し撮影できたのは収穫であった。コマ数は20040コマである。 (2) 京都府立総合資料館に寄託されている「谷口房治家文書」が田辺藩郡奉行所の文書であることがわかり、その調査と写真撮影・印画をおこなった。印画枚数は2762枚である。 (3) 島根県松江市の島根県立図書館架蔵の「御徒士文書」が松江の松平家領の郡奉行の民事訴訟文書であることがわかったので、それを見学し、それが田辺藩の「訴状及判決書薄冊」の各冊の巻末の目録に記された「一件袋」と同種の原本であることが判明した。ただし、国立史料館が調査中なので、詳細な調査はおこなっわなかった。 (4) 京都府長岡京市今里区有文書および個人所蔵文書の調査の結果、戦国時代の水論に対する三好長慶の裁許状発給に関する一連の文書と裁判の「手日記」と称する裁判記録を発見し、その紹介をおこなった。これは、田辺藩にみられる近世の裁判記録の前史をさぐる手掛かりとなるものである。 (5) Judicial Records,Law Reports,and the Growth of Case Law.ed.by J.H.Bakerのなかの英・独の部分を検討し、紹介論文を作成。 (6) 丹後田辺藩裁判資料と谷口家文書中の田辺藩裁判記録との目録を作成。 (7) 『丹後田辺藩裁判資料について』なる報告書を作成した。
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