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1991 年度 実績報告書

行政訴訟制度の実務と立法の改革に関する日独比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 02620007
研究機関北海道大学

研究代表者

木佐 茂男  北海道大学, 法学部, 教授 (30122039)

キーワード行政訴訟 / ドイツ / 行政争訟 / 法治主義 / 法の支配 / 公務員研修
研究概要

本研究の目的は、日本の行政救済制度を実効的なものとするために、裁判実務と行政訴訟制度の改革の途を明らかにすることにある。現在の行政救済制度は、統計的にみる限り、国民のための制度としてはほとんど機能していない。ヨ-ロッパ諸国はいうまでもなく、例えば台湾でも人口比で18倍の行政訴訟が提起されている。
わが国では民事訴訟も少ないが、行政訴訟の少なさは一段と目だつ。公権力を相手方とする訴訟については、日本人のいわゆる〈訴訟嫌い〉とは別に理由があると推測される。
本年は、北海道の全市町村を対象とする法務行政や職員の法的知識の現状について詳細なアンケ-ト調査、ドイツの公務員養成・研究の実態調査、裁判官・弁護士・行政官の専門性の比較研究、ドイツ行政訴訟の制度と実務のここ数十年の変化とその要因の研究を進め、日本の行政訴訟の全体的改革の筋道を探ることに努めた。
その結果、日独の行政救済法には、概括的にいって基本理念に違いがあること(とくに審理手続の全体における市民への配慮)はもとより、日本では一般の公務員が不服審査や行政訴訟の提起を国民の当然の権利として受け入れ、みずから処理をする訓練をまったく受けていないのに対して、ドイツでは初級・中級職の職員が徹底して法的訓練を受けて初めて公務員になるから争訟の提起を受けても困らないこと、裁判官を始め関係者が専門知識を備えているから相対的に手続が迅速に進むことなどが明らかになった。日本で行政救済制度の全面的活性化、すなわち〈法の支配〉の実現を目指すには、訴訟法の改正や訴訟要件の拡大などの制度的および理論的改善では足りず、行政組織や公務員養成・研修、文書管理の改革にまで視野を広げることが不可欠であり、そのための具体策の立案が急務である、というのが結論である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 木佐 茂男: "訟務制度にみる公共性と法治主義(一)" 北大法学論集. 41巻5・6号. 2407-2438 (1991)

  • [文献書誌] 木佐 茂男: "訟務制度にみる公共性と法治主義(二・完)" 北大法学論集. 42巻1号. 105-174 (1991)

  • [文献書誌] キュ-リンク,阿部 泰隆,木佐 茂男: "連邦憲法裁判所判事に聞くードイツにおける行政訴訟と憲法訴訟" 法律時報. 64巻3ー5号. (1992)

  • [文献書誌] 木佐 茂男: "司法改革が根づく条件は・・・" 法と民主主義. 264号. 50-53 (1992)

  • [文献書誌] 木佐 茂男: "行政訴訟の改革(予定)" 北大法学論集.

  • [文献書誌] 渡部 保夫,宮沢 節生,木佐 茂男,吉野 正三郎,佐藤 鉄男: "テキストブック現代司法" 日本評論社, 232 (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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