研究概要 |
生涯教育実施計画の策定にかかわって都道府県レベルでの課題と実態についての比較検討(茨城県,岩手県,新潟県,広島県,岡山県)と、市町村レベルでの実情と課題についての比較検討(茨城県内外の12市町村を対象)とを区分して、前者ではとくに基礎自治体に対する計画策定方法についての指導・助言について、後者では計画策定の過程・組織・方法上の原則(とくに住民参加の有無)および計画実施の諸結果について重点的に調査研究した。 県の指導上の課題ーー現状分析から得られたものーーは、(1)基礎自治体を生涯教育実施主体として位置づけ計画策定の自主性(計画内容の決定の栽量)を承認するか、または、上位計画(多くは県策定)の実施者にとどめて伝統的な縦割行政の枠組内で市町村の活動を制禦しているという相反する傾向があること、(2)生涯教育行政の守備領域の捉え方に相当の格差があるーーそれは生涯教育概念の捉え方の相違を反映しているーーこと(例えば、従前の社会教育法の範域にとどまっている場合と、町おこし課題に結合させた総合振興計画のソフト部分的捉え方をしている場合など)、(3)したがって、県の指導責任機関も教育委員会内の小部局か、それとも知事部局の総務・企画・厚生等の部局と教育委員会との協議機関か、など県の間で違いがある。 市町村での計画策定および計画実施の結果にみられる問題点は、(1)生涯教育の理念と内容,それを具現する政策構総の理解不足、(2)首長はじめ執行部管理者および議会側の姿勢の違いが計画策定と実施に決定的な影響を与えていること、(3)計画策定および実施の過程への住民参加の程度に応じて「イベント型」と「ト-タル・プログレス型」とに区分され、「イベント型」の行政イニシアチブ催しの限界が明らかになっていること、(4)首長部局の参与が弱く教育委員会の単独事業となっている、など。
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