研究概要 |
犯罪人引渡法の基本的原則および重要問題を解明するべく,欧米の文献を参照しながら,研究に取り組んだ。 「研修」505号に掲載した「略式の犯罪人引渡し」は,わが国ではこれまで知られていなかったテ-マを扱つたものである。すでに欧米の先進国の犯罪人引渡法では,この制度は採用されている。わが国も,早急に法律を改正してこの制度を採用することが望まれる。 「広島法学」14巻4号所載の「犯罪人引渡法における相互主義」は,わが国で初めて取り上げられたテ-マにつき,外国の法律,条約,学説を調査し,問題点を明らかにした。わが国では,相互主義の意義を厳格に提える傾向があるので,それを修正する契機となるであろう。 「犯罪人引渡法における政治犯罪の概念(一)〜(五・完)は,「政治犯罪」の概念が歴史的に変遷していること,国によって解釈が異なること,最近では,政治犯罪の概念が狭められてつつあるが,相対的政治犯罪の概念は拡大される傾向にあることを指摘した。
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