研究課題/領域番号 |
02620029
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
有賀 弘 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (50013008)
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研究分担者 |
平島 健司 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (40156659)
馬場 康雄 東京大学, 法学部, 教授 (40013031)
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キーワード | 社会民主主義 / 福祉国家 / ケインズ主義 / 労働組合運動 |
研究概要 |
本研究の目的は、80年代を迎えて盛んになった福祉国家見直し論や新保守主義の台頭に対し、社会民主主義が西ヨ-ロッパにおいて占める地位を歴史的軌跡をたどりつつ画定することにあった。 ドイツ、スウェ-デン、イタリアなどの事例を選んで近接比較を行なった結果明らかとなった点としては、(1)第2次大戦後、福祉国家の建設とケインジアン的経済運営が各国に共通して広く正統性を得る中、社会民主主義も安定した勢力として定着したこと、(2)にもかかわらず、オイルショック以降、各国の社会主義勢力がその政治戦略上の地位に少なからぬ相異を見せた原因の一つとして、19世紀以降の社会民主主義政党と労働組合運動との展開の相互関係が考えられることであった。これらの点を中心として、各国の社会民主主義の展開はその大まかな概略を把握することができたように思われる。 しかし、例えば第2次大戦後の福祉国家の建設が、社会民主主義勢力だけによって達成された訳ではない点にもみられるように、社民勢力が各時期において有した政治的な比重は、他の政治勢力との競合・連合関係あるいは国家機構との間の関係を考慮することなしには充分把握しえないことも改めて認識されるに至った。従って今後の課題としては、社会民主主義だけでなく他の政治勢力をも含めた政党、団体の展開を、国家と市民社会の対抗関係の中で、各国を相互比較しながらヨ-ロッパ全体において明らかにしていく点にあるだろう。
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