本研究代表者は、先ずヴィクセル往復書簡(ルンド・ウプサラ両大学所蔵分)のマイクロ・フィルム15巻(1巻は約3.6×3000cm)、約10000枚の焼き付けを行い、それらをその他の機関所蔵分であってゼロックス・コピ-として予め入手済みのものに加えた。それらは総計約4000通に達することがわかった。次いで各書簡をビニ-ルに詰めた上、それらをヴィクセル発信書簡とヴィクセル受信書簡とに区分しかつ年月日順に整理した。その整理分に従って、発信年月日・発信場所・発信相手名・所蔵機関名・書簡形状等の項目の下に、「ヴィクセル発信書簡目録」を公表した。(本「目録」から明らかなように、先人により既に読み起こされている書簡が相当枚数あるが、これらについては6割方入力した)。ヴィクセル発信書簡は約1000通に達する。「目録」の、最初の66通、イスタ-ド刑務所発信の11通、晩年の3通、計80通の解読を行った。それと並行して、ヴィクセル伝記資料(教区記録薄・父親の遺産目録等)の解読も行なった(「ヴィクセル年譜」所収)。本研究代表者による読み起こし分の校正は大阪在住のスウェ-デン人に依頼した。しかし読み起こし・校正両作業共、当初の予想をはるかに超える難業であったため、補助金額中の「謝金」でカバ-しえたのは上記解読分中のわすか約20通であった。本研究は、今後、第1に「ヴィクセル受信書簡目録」を作成するかたわら、第2に途に付いたばかりのヴィクセル発信書簡の解読を続行するであろう。しかし上記のような難業のため、多額の「謝金」補助を今後受けざるをえなくなるであろう。さらに、第3にヴィクセル受信書簡の解読に進まねばならないし、第4にこれら発信・受信両書簡を年月日順に再整理し直し、そして第5にそれらを原文のまま公刊しなければならない。そのようにして初めて「ヴィクセル往復書簡の解読」という当初の課題に答えうる。
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