研究概要 |
本年度における多変量解析の理論研究においては,a)多変量正規分布の分散共分散行列のミニマックス推定,b)母分散共分散行列が特異に近い場合のウィシャ-ト分布の漸近分布,c)直交不変なモ-メントを用いた多変量正規性の検定,について結果を得た。a)は分散共分散行列の推定の決定論的観点からの改良を論じたもので,Journal of Multivariate Analysisに掲載予定である。b)については論文を準備中である。c)については,第3回太平洋地域統計会議において論本を発表した。会議のproceedingsに論文掲載予定である。 本年度は,論文作製のほかに2冊の教科書を完成し出版することができた。共立出版から出版された「多変量推測統計の基礎」は,研究代表者の長年の多変量解析の研究をまとめたもので,大学院しベルの多変量解析の理論の教科書である。また,創文社より出版された「現代数理統計学」は数理統計学の中級レベルの標準的なテキストを目さして書いたもので,数理統計学の体系的な記述としてよくまとまったものになったと考えている。 統計学の応用面においては,特に東京大学におけるコンピュ-タ環境(ネットワ-ク等)が整備されたために,ワ-クステ-ションの上の統計パッケ-ジ(SAS,TSP,Shazam等)が身近に使えるようになった。これらを用いて多変量解析のグラフィックス手法なども応用できるようになった。
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