研究概要 |
本研究の狙いは「条件付尤度による推論は(無条件)尤度による推論よりも優れていることがある」との作業仮説の検証である。 上記の仮条に基づく作業は一応順調に進んだ。その上幸いなことに研究の進行の過程で新たな展開を示すことができた。その1つの契機は学術振興会のプログラムによるカナダ国での滞在である。Godambe,Reid,McCullagh教授らと討論するなかで、我々の研究が基本的な点で彼等と鋭どく対立していることが分った。逆にみれば我々の研究のオリジナリティが高いことを意味している。 もう1つの契機は長岡技術科学大学の藤野氏との共同研究である。問題はベ-タ分布の推論であった。我々は近似条件は推論が必要であることを認識した。このことは直ちに,例えばベ-タ2項分布での推論にも適用できることが分る。この場合の視点は標本平均の重要性である。条件付推論は拡散母数に対する手法だから,位置母数の推定量である標本平均が大きな役割を果すことは、整理して考えれば当然といえる。 条件付推論を推定方程式の観点からみると、不偏化の実現とみられる。従って条件付推論をより一般的な不偏化としてみなすと、近似条件付推論を構成することができる。このために推定方程式の感度規準を導入した。この規準によって不偏化の妥当性を調べた。 以上述べたように新らしい視点を得ることによって、研究成果も順次論文としてまとまっている。
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