(1)極東地域経済が従来の資源植民地タイプの経済から脱出し、豊かな天然資源が実際に地域住民の福祉に役立つための方策の探求が、極東経済の発展計画の中に現れた。 (2)自立経済へ脱皮するための基本資産は、極東の場合は、豊かな天然資源以外にさしあたって見あたらない。 (3)ソ連にとって外貨獲得のチャンピオンである石油生産が、チュメニの急激な生産低下を始めとして全体で四億トン以下に本年はなってしまう見通しである。これは採掘技術の陳腐化もさることながら、政治的不安定による採掘施設・部品の補給が麻痺していること、燃料の低価格政策による労働意欲喪失、石油精製能力不足、積み出し港湾能力の不備など、制度的側面にむしろ問題がある。 (4)旧ソ連はCISに分解したが、地下資源の宝庫と言われるロシアも石炭、鉄鉱石などはカザフ、ウクライナなどから移入しており、石油はロシアが断然供給者である。このようにCIS諸国の資源依存度は大きいにも拘らず、相互資源供給関係が断絶し始めている。 (5)地域主権が強烈に主張されはじめ、原則として資源は、その産出地の行政府に所有権があるということになりつつある。しかし、ダイヤモンド、金、石油・天然ガスなどは、共和国中央の権限がまだ強い。この処分権を地元と中央でどのくらいの割合で分掌するのかが、今後民族国家の独立問題と絡んで大問題になろう。 (6)極東資源では、今後、ヤク-チアの天然ガス、サハリン大陸棚の石油・ガス、バイカル以北のベルフネ・チョン産地開発が日程に上ることになる。
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