バスク地方のモンドラゴン協同組合グル-プを中心として、スペインでは労働協同組合運動が近年、目覚ましい発展を遂げてきた。同様の展開は、イタリアやフランス、また規模は小さいながらイギリスなどでも見られ、これまで消費者協同組合を中心に展開してきたヨ-ロッパ、ひいては世界の協同組合運動に大きなインパクトを齎らしつつある。また労働者協同組合の経験は、協同組合運動のみならず、ソビエト型「社会主義」モデルの崩壊といぜん南北格差が解消されない国際社会にあって、南の国々の持続的発展、内発的発展の一つのモデルとしても大きな意義をもつ。 とりわけEC統合の進むヨ-ロッパにおいて労働者協同組合を軸とする協同組合は、「社会的経済」という新たな概念の中核として理解されるに至った。社会的経済とは、協同組合、共済組合、各種の自助グル-プなどを包括し、民主的な経営、管理、組織方法によって、利潤ではない何らかの社学的価値の創出を目的とする経済活動として理解される。1991年にEC委員会の提出した欧州協同組合法案は、この社会的経済を協同組合運動の場において具体化しようとした試みの一つとして理解され、そこでは労働配当、利潤の社会的還元などこれまでの協同組合運動の経験を超える新たな提起がなされている。モンドラゴンを軸とするスペインや他の国々の協同組合運動の経験は、この構想の結実に大きく貢献したといえる。 他方、欧州協同組合法案、欧州労働協議会指令案などを通じて一般の資本主義企業、とりわけ多国籍企業における従業員参加を実現しようとする試みも、EC統合の下で進んでいる。欧州規模における社会的経済と従業員参加の進展は、日本にも大きな影響を齎らすであろう。
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