三年計画の初年度である本年は、基礎的準備作業の時期と位置づけ、資料の収集と収集した資料のデ-タ-の電算機への入力を実施した。第一の資料の調査収集は、本年度は東京大学東洋文化研究所・国会図書館・東北大学収蔵の租機関係簿冊・魚鱗冊・契約文書等について行い、一部をマイクロフィルムによる複写を行った。この調査収集の過程で、日本の各大学・研究機関に収蔵されている地主関係簿冊・文書資料は、例えばある機関収蔵資料に出てくる租機名が他の機関収蔵資料にも見い出されるほど、かなりの相互関連性をもっており、これらの資料について、従来までの個別資料の実証研究ばかりでなく、統合的な比較研究が必要であることを痛感した。第二の資料デ-タ-の電算機への入力は、新たにパ-ソナルコンピュ-タ-等を購入し、一部研究補助員の力を借りて、租機関係簿冊を中心に約50冊について完了した。デ-タ-の入力においては、簿冊・文書に注記されたメモ書き等をどう扱うかについて一部問題は残るが、数値の計算・分析及び資料の整理・検索については、市販の表計算、デ-タ-ベ-スソフト(今回はロ-タス1、2、3と「The Card3^+」使用)で充分対応できることが分った。ただ入力過程で、資料によっては入力デ-タ-量が相当多量で、電算機本体メモリだけでは処理しきれず、ハ-ド・ソフト両面に亙る対応に迫られ、ハ-ドディスク・Ramボ-ド・ディスクドライブ等を購入して対処した。本研究計画で入力・分析するデ-タ-はフロッピ-ディスク100枚以上に上り、統合的な分析のためには、パ-ソナルコンピュ-タ-では因難で、他大学・研究機関の大型電算機の使用も考慮されなければならないかもしれない。
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