研究概要 |
本研究は、15世紀なかば兵庫津に入津した船の一年間にわたる関税納入帳簿である「兵庫北関入舩納帳」(以下「納帳」と略称)の各項目をコンピュ-タ入力してデ-タベ-スを作成し、これをもとにして当該時期の瀬戸内海地域における商品輸送・廻船の調態をデ-タベ-スからえられた各種統計を分析して多方面・総合的に明らかにしようとしたものである。 平成3年度は、前年に引き続いて「納帳」の各項目の史料としての確定とそのコンピュ-タ-への入力を継続するとともに、このデ-タベ-スから統計表を作成し、兵庫津への商品の入津量、商品輸送のあり方等について分析をおこなうことができた。本年はとくに「米」について検討を加えた。兵庫津への米積載船458船、年間総入津量31,000石であるが,入津量に3・4月と11・12月の二つのピ-クがあること、3・4月の場合には主として四国産の米が、11・12月の場合には播磨産の米が、多く入津し、米の集荷先に時期による顕著な違いがみられること等を明らかにすることができた(なお詳しくは、「研究成果報告書」を参照されたい)。 「納帳」記載の項目についてはほぼコンピュ-タ-への入力を終え、デ-タベ-スとして利用可能な状態にすることができたので、今後瀬戸内海地域のもっとも重要な商品である塩をはじめ50数種類にのぼる「納帳」記載の商品について、さまざまな角度から分析を継続し、瀬戸内海における商品輸送の実態を明らかにすることにつとめたい。
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