研究概要 |
本研究は、15世紀なかば兵庫津に入津した船の一年間にわたる関税納入帳簿である「兵庫北関入舩納帳」(以下「納帳」と略称)の各項目をコンピュ-タ-入力してデ-タベ-スを作成し、これをもとにして当該時期の瀬戸内海地域における商品輸送・廻船の実態をデ-タベ-スからえられた各種統計を分析して多方面・総合的に明らかにしようとしたものである。 「納帳」には、文安2年1月から文安3年1月にいたる期間の兵庫津への船の、入港年月日・船籍地・積載品目・数量・船頭名・問丸名・関銭額・納入日の基本情報に加えて、使用枡の注記、関銭納入に関する注記などが詳細に記録されている。入港総船数1964、延べ積載商品数2645にのぼり、各項目の情報量は約20,000項目に達している。 初年度は(平成2年)、これらの記載事項の確定(史料解釈)、コンピュ-タ-入力のための統一と調整、確定事項のコンピュ-タ-への入力に重点をおいて作業を進めた。平成3年度において、ほぼコンピュ-タ-入力を終え、デ-タベ-スとして利用可能な状態にすることができた。さらに、これをもとに時期別・商品別・船籍別等各種統計表を作成し、兵庫津への入津量の月別変化や集荷先の移動について具体的に明らかにすることができた。平成3年度においては、「米」について検討したが、今後「塩」をじめとする積載品目すべてにわたって検討を加え、瀬戸内海における商品輸送の実態を明らかにすることにつとめたい。
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