研究概要 |
I 本研究は、(1)EC市場統合の歴史(2)EC市場統合の法的整備(3)EC市場統合の機関(4)EC市場統合の意義と効果(5)EC市場統合後のECの対外通商政策と地域経済圏(6)EC市場統合への日本企業の対応(7)EC市場統合への欧州企業の対応(8)EC市場統合への米国企業の対応(9)EC市場統合への日欧米企業の対応の今後(10)EC市場統合からEC統合(市場統合、経済・通貨統合、社会統合、政治統合)へ(11)EC統合と日欧米企業の対応(12)EC統合から大欧州統合へ(13)大欧州統合と日欧米企業の対応から成っており、その構成は研究課題よりも広く、多岐にわたっている。 II その研究結果を要約すれば、次のとおりである。(1)EC統合についてー(1)欧州では,ECを核として、EC域内の市場統合から経済・社会・政治統合に向けての動きと、これら一連のEC統合から大欧州統合に向けての動きとが、同時に力強く進行している。(2)(1)を促進した要因は、1989年秋以降に起った東欧・ソ連の大変革と東西ドイツの統一とであるが、90年夏以来の湾岸危機・戦争は、特に政治統合に関して厄介な問題を提起した。(軍事力抜きの欧州の安全保障機構づくりが地域紛争に対して無力であるという問題)(3)湾岸戦争の烈しさにもかかわらず、大欧州統合は、ドロ-ルEC委員長の提唱する三つの同心円構想に従って、着実に進められつつある。(2)EC市場統合への日欧企業の対応についてー(1)日本企業のEC進出は、国別では英国、ドイツ、フランス、業種別では電気機器、機械、化学分野が目立っている。(2)日本企業は杯々の対応策を講じながら、生産・経営・研究開発面で現地化を推進している。(3)欧州企業は、日米企業と互角に戦える産業、とりわけ航空、軍需、通信機器、重電機、自動車などの分野で、国境を越えた再編成を展開しつつあるが、湾岸戦争の余波や欧州経済の低迷や東欧・ソ連の政情不安のため、苦境に立たされている。
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