過去2年度においては、まず既存の時間価値研究のレビューを行い、高速道路利用者の真の代替経路の特定の必要性、1日のトリップスケジュール全体での考察の重要性、時間価値はその節約時間を振り向ける先の活動の時間価値であるという認識の重要性、そして節約時間の真の帰属先の特定の重要性などを明らかにしてきた。さらに、高速道路料金と時間価値に関するミクロ経済理論分析から、高速利用の限界的な時間価値がトリップ長に依存すること、かつ料金改訂時における利用者の挙動についても明らかにした。そして、阪神高速道路利用者を対象としてアンケート調査を実施し、SPデータ解析ならびにルート選択規定要因についての分析を実施した。この結果、ランクトロジットモデルが利用者の合理的な選択行動を説明することが判明した。以上の研究の諸成果はすでに関係学術雑誌に発表済みである。 今年度は、以上の2年間の研究成果の報告書印刷を行い、別添のとおり刊行した。さらに、昨年からの継続課題としての物流プロセスにおける時間価値研究の必要性に鑑み、研究の方向付けのための基礎研究を実施した。1つは高速道路が物流合理化への寄与をなしているという点に着目し、在庫モデルを発展させ、物流合理化効果を時間節約の視点から計量化する試みを行った。また、料金改訂が利用交通量に及ぼす影響分析の一環としての弾力性分析も実施した。これらの成果を踏まえて、あわせて次年度科学研究費への申請もおこなった。
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