平成4年度の研究は、アクティビティ・ベースの原価計算システムと機能分折の統合可能性と、新しい原価管理システムの展開を試みかた。 周知の通り、アクティビティ・ベースの原価計算は、製造間接費の発生原因を企業活動、特に日常的なアクティビティに求め、このアクティビティを原価配分の基凖に考えた、製品原価の原価計算方法として開発された。しかし、このアクティビティを単なる製品原価の算定のための原価配分基凖のみに終始する事なく、原価管理の対象として考え、研究をすすめた。これまでの研究では、アクティビティを付加価値を生むアクティビティと付加価値を生まないアクテビティに区分し、これらのアクティビティに原価を集計することにより、企業がいかに付加価値の高い活動に経営資源を費やしているかを評価する方法が考えられた。かりに付加価値を生まないアクティビティに経営資源を必要以上に費やしているときは、このアクティビティを出来るだけ排除しようといる考えである。このようにアクティビティ・ベースの原価計算は製品原価の算定のための原価計算システムから原価菅理のための原価計算システムへと変貌している。しかし、こうした原価管理の理論に問題がない訳ではない。まず、誰が何をもって付加価値を生まないアクティビティと決め付けることが出来るかという問題である。即ち、価値を生まないアクティビティとはいかなる基凖により決定することが出来るかである。 本年度は、こうした問題を解決するために、機能分折を活用し、アクティビティ情報に基づく原価管理システムを具体的に研究した。この原価管理システムについては、米国のジャーナルに投稿し、受理されている。
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