研究概要 |
「実務に潜む理論」である原価企画活動(製品コンセプト作成段階,あるいは研究開発・設計段階における原価低減活動)の全容を理解するためには,フィ-ルド・リサ-チが必要となる。これまでに調査を実施した企業は10社を上回っている。これらの調査の結果,原価企画に関連した以下に示すようなテ-マについての新たな知見が得られたことが大きな成果である;1)原価目標の設定方法,2)原価企画と戦略・中期利益計画の関係,3)原価企画におけるプロダクト・マネ-ジャ-の役割,4)原価企画のための組織のあり方,5)原価企画におけるメ-カ-とサプライヤ-の関係,6)原価企画を支援する情報システム,7)原価企画活動の海外移転。 研究の結果,原価企画を単に経営システムと理解するだけでは十分でなく,管理会計,原価計算,マ-ケティング,企業戦略論,組織論,流通・物流,新製品開発管理などの経営学全般,さらには経済学や産業組織論などの理論と関連づけて理解したり、従来の理論に対して新たな視点を提供できる可能性があることが次第に明らかになってきた。 これまでの研究成果を踏まえて、質問票調査の実施を次年度に計画しているが、現在そのための質問票をデザインしているところである。また,これまでに得られた知見の一般性を確認するための研究会も次年度発足予定となっており,これに先立つシンポジウムの開催を次年度6月に企画しており,現在準備作業に従事している。 このように,研究計画書に示した計画スケジュ-ルにそって研究は予定通りに進行中であり、次年度の研究によって、「実務に潜む理論」の抽出は可能であると考えている。原価企画は,日本企業の競争優位性に深く関連しており,その点に関する理論の構築も必要であると思われる。
|