研究概要 |
平成2年度のケ-スリサ-チの成果を受け,原価企画に関して,十数社を対象にかなりインテンシブなインタビュ-調査を継続した。この方法によるケ-スリサ-チで明らかにされたことは,多様な実務の存在である。例をあげると,設計,開発さらには商品企画のどの段階まで遡って原価を作り込んでいるのかに関してさまざまの実務が存在する。組織面では,原価企画担当部署に常駐させている場合と,プロジェクトを組んで進めているケ-スなどがある。また,中長期計画とリンクさせるケ-スもあればそうでないケ-スもある。 本研究としては,このような多様性の観察からさらに進めて,この多様性を経営戦略・組織から論理的に説明しうる理論の構築を目指した。それと同時に,日本的とされる原価企画の国際的適用可能性を解明する目的で,日本企業による原価企画の海外転移を調査し,その国際性を実証した。 これらの成果を受けて,平成3年度から包括的な郵送質問票調査を開始した。平成4年1月に回収を終え,東証上場企業の原価企画デ-タベ-スを作成した。その単純集計および解釈は終了し,草稿は完成している。原価企画の多様性がふたたび確認されるとともに,従来の研究ではほとんど記述されていなかった装置産業における原価企画の特微が明きらかになった。なお,ケ-スリサ-チでの成果を生かして,郵送質問票には経営戦略や組織等の要因を取り込んでいる。さらに分折を続け,原価企画の多様性をこれらの要因で説明したい。
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