研究課題
本年度の研究では、6次曲面の変形の決定、種数3の曲線ペンシルの構造の研究、グラスマン多様体上の超幾何関数の研究、および量子群と関連した特殊関数のqーアナロ-グについて研究を行ない多くの目覚ましい成果を得た。1.6次曲面の変形.射影平面内の非特異6次超曲面の変形として得られる可能性のある曲面の構造を完全に決定し、それらが実際6次曲面の変形であることを構成的に証明した。この結果このクラスの曲面の可微分多様体の上の複素構造の全体のモデュライ空間は既約であることが示された。これは一般型の曲面の例としては初めてである。この結果は曲面上のラインバンドルで標準バンドルの1/2であるものの定める有理写像を詳しく調べることによって得られる。このとき最も本質的かつ困難であるのは、この写像が種数3のペンシルになる場合である。この困難を克服することにより副産物として種数3のペンシルの構造の研究に対しても新しい対見が得られた。これを発展させて種数3のペンシルの一般的な構造の研究が近い将来に可能となるであろう。2.超幾何関数の研究。I.M.ゲルファンドと共同研究者によって精力的に研究されている一般化された超幾何関数についてリ-環的な見地からその変換法則と隣接関係を明らかにした。これらは従来の結果を非常に簡明で構造的な立場から解明したものである。3.研究分担者野海正俊は名古屋大学の三町勝久と共同で量子群を通して特殊関数のqーアナロ-グを研究してアスキ-・ウイルソン多項式と量子群の表現との関係を明らかにした。これは将来2.の超幾何関数との関連する研究に発展が期待されるものである。
すべて その他
すべて 文献書誌 (5件)