研究課題
この研究は本来無限変数を目指すものであるが、本年度の成果としては以下述べるようにその準備としての有限変数にとどまってしまった場合が多い。1.バナッハ空間のテンソル積には、適切なノルムが無限個存在する。これを利用すれば一変数ソボレフ空間のテンソル積によって多くの新しい関数空間が作り出せる。それらの空間における波動方程式の適切性を考察した。これはディラック方程式についてのファインマン経路積分に関係している。2.上記の経路積分は、ベクトル値シリンダ-測度に深くかかわっている。その一端を明らかにした。3.上積分を一般化した可算劣可法的関数に関するファトゥ-型定理などを考察し、調和関数の境界挙動を調べた。更にこの結果をノイマン条件の考察に応用した。4.スピン多様体上のディラック作用素の指数に対するアティア-ヒルツェブルフの定理とリヒネロウィッツの定理の関係について考察した。5.佐藤超関数およびマイクロ関数の第二解析的波面集合の関手的性質を考察した。その応用として、第二波面集合と第二超局所特異台の同値性を示した。6.解析写像の概念を、一意接続の性質を保つ範囲で一般化することを種々試みた。また、これらと非源形方程式の解の一意性との関係についても考察を試みた。しかし、これらの結果は現在進行中で、まとめるに至っていない。
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