研究課題/領域番号 |
02640183
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
森本 治樹 大阪市立大学, 理学部, 教授 (60046894)
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研究分担者 |
藤井 準二 大阪市立大学, 理学部, 講師 (60117968)
佐官 謙一 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (70110856)
小松 孝 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (80047365)
池上 輝男 大阪市立大学, 理学部, 教授 (90046889)
釜江 哲朗 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047258)
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キーワード | 優越型実験 / 十分性 / 対十分性 / 可算加法族 / 基軸測度 |
研究概要 |
優越型統計実験(Majorized Statistical Experiment)の十分性と対十分性に関する性質・特徴を、測度論的側面・確率論的側面・集合論的側面の三つの面から研究した。 測度論的には、優越型実験は(1)可測空間上に多数の確率測度が定義されたもので、(2)それらすべての測度が他のある測度(優越側度と呼ぶ)に関して密度を持つ、という二条件で定義される。これら二条件は、(3)すべての測度が台(Scpport)をもつ、という条件と同値であることが証明される。本研究においては、これらの性質をPivotal Measure(基軸測度)の関係を明かにした。すなわち、優越型統計実験に対する基軸測度は、「すべての測度のそれに関する密度が、“対十分かつ台を含む"(PSS)加法族に関して可測になる」ことにより定義できる、そしてそれは各測度の台の上に局限して定義された局所的支配型統計実験の基軸測度をつなぎ合せたものとして得られることが示された。 確率論的には、優越型実験は非可算個の、互いに殆んど素な確率空間に分解されることが知られている。本研究ではこの事実の上に、優越型実験を数学的に構成する際に基本的加法族の選択に任意性があり、それは上記の確率空間への分解の際にあらわれる非可算性によるものであることがわかった。これによりすべての可能な基本的加法族に階層構造があり、これが最小対十分加法族の存在・非存在の問題と密接に関連することが示された。 集合論的には、上記の非可算性の濃度によって、十分・対十分加法族の示す性質が著しく影響を受けること、また非可測集合の存在といわゆる「Burkholder現象」(非十分加法族が十分加法族を含む現象)の生起との関係を明かにした。
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