Golay符号、Hadamarの符号について、確率的に構成する問題について、研究を行い、シミュレ-ションにより実際に構成する方法を以前は提案した。この結果はJ.H.Conway及びV.Pressによる自己双対符号の数えあげについての理論的結果に関連している。Golay符号とひとつの場合として含む8通りの自己双対符号をHamming距離をもちいたランダムパッキングにより構成した。確率をシミュレ-ションにより推定する計算機プログラムを作成し、様々な観点から考察を行った。数学的にもとめる手がかりが得られたとは言い難いが、多くの興味深いシミュレ-ション結果は得られた。最初に選んだ10個の点が、最終的な点の配置をどのように定めるかについて、実験式を得たが、これの証明は今後の課題である。Golay符号は幾何学的対称性が非常に高く有限群論の中心的問題に関連している。幾何学的対性の統計的分布という問題について、Golay符号の確率的構成法は典型的な例となっている。群の構造が部分群の出現頻度にどのように定めるかという問題としてとらえたときに、対称性の統計的分布という問題へのひとつの視点を得ることができた。Golay符号の確率的構成法は、ある幾何学的構造が確率的に構成されて行くという確率過程としての興味深い側面も持つ。この問題意識は言語の確率的構成という問題にまで発展させることができる。Golay符の確率模型による構成法について、定理を示したいと考えていたがこれについては成功に至らなかった。しかし、この考え方の応用については結晶の対称性の統計的分布、あるいは言語の確率模型による構成等の問題へと発展させることができた。
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