1.1960年から1992年にわたって発表された偏波の観測データとNRO45m電波望遠鏡による未発表のデータを集約しカタログ化した。偏波のファラデー回転(RM)についても従来発表されているものに新しいデータをもとに計算して得られたものを含めカタログ化した。 2.QSOの吸収線及び輝線について、とくにCIVとMgIIを対象に、最新の観測データを整理集約した。 3.QSOのファラデー回転をQSO固有の物理量(吸収線、電線スペクトル指数及び電波構造)について比較検討した結果、吸収線がQSO起源であるものと、途中の原始銀河ハローに起源をもつものとで、明らかに異なった特徴があることが明らかになった。前者はRM値が大きく、電波スペクトルもスティープであるが、後者はRM値がゼロ近く、スペクトルはフラットなものも多い。 4.吸収線とRMの相関を調べた結果、従来は吸収線が弱いものに比べ吸収線の強いものはRMが大きいことから、原始銀河ハローに磁場が存在していると考えられていた。しかし、強い吸収線の場合でも、QSOに起源をもつものの方が特にRM値が大きいことから、原始銀河ハロー中での磁場の存在はではなくQSO自体での磁場によることが明らかになった。 5.QSOの磁場の向きは電波源の長軸によくそろっている。強い吸収線をもつQSOの大きなRMは、電波の軸に平行な磁場によって引こ起こされることは注目に値する。
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