今年度の研究施計画に従って、銀河の紫外放射スペクトルの進化を銀河の化学進化と整合的に計算する目的の第一段階として、円盤型銀河の紫外線源である若いOB型星の進化路を既に開発済みの種族合成プログラムに取り込んだ。これによって、円盤型銀河の紫外域から近赤外域までの放射エネルギ-の進化モデルを完成させた。第二段階として、紫外線源と考えられている年齢の古い水平分枝星の漸近巨星分枝星の進化路も種族合成プログラムに取り込み、楕円銀河の紫外線源を特定すべく研究を続行中である。この研究に基づいて、銀河の進化補正を具体的に考慮し、暗い銀河の観測からFriedmann宇宙モデルの密度パラメ-タΩ_0と宇宙項Λを同時に決定できるように従来の観測テストを拡張した。この観測テストのうち、特に、28等級まで達する暗い銀河のnumber countからΩ_0とλ_0(〓Λ/3H_0^2)の値をそれぞれを〜0.1及び〜0.9と決定した。すなわち、観測デ-タは零でない宇宙項を示唆するにとどまらず、宇宙空間を平坦にするような特別の値をとることも要求していることを明らかにした。また、銀河の面輝度は、理論的に(1+z)^<-4>で減少するため、赤変偏移の大きい銀河は観測限界より暗くなり、観測されない可能性が指摘されてきた。この選択効果を考慮して、上述の観測テストをさらに拡張した。この選択効果が最新の赤方変偏移分布やnumber countの観測デ-タの解釈に重大な影響を及ぼしていることを指摘し、これによって観測的宇宙論のパラドックスのいくつかが解決できることを明らかにした。
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