研究課題/領域番号 |
02640213
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳田 勉 東北大学, 理学部, 教授 (10125677)
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研究分担者 |
村山 斉 東北大学, 理学部, 助手 (20222341)
川崎 雅裕 東北大学, 理学部, 助手 (50202031)
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キーワード | 宇宙背景輻射 / 不安定粒子の崩壊 / インフレーション宇宙 / 右巻ニュートリノ / 超対称性 / 宇宙のバリオン数 / COBE / 太陽ニュートリノ問題 |
研究概要 |
3°K宇宙背景輻射はビックバン宇宙の動かぬ証拠と考えられている。また、この背景輻射の温度のゆらぎの存在は銀河形成の基礎となっているのみならず、初期宇宙を考える上で重要な要素となる。初期の宇宙に不安定な粒子の輻射崩壊が起これば、宇宙背景輻射のスペクトラムに大きなゆらぎを生む。平成2年度には、このゆらぎの詳細な計算を行い、不安定粒子の質量と寿命に制限をつけた。さらに平成4年度にCOBEにより観測された宇宙背景輻射のゆらぎの大きさを用いれば、より強い制限がつく。この点については現在解析中である。 不安定粒子の崩壊としてインフレーションを引き起す場であるインフレートンの崩壊が考えられる。しかし今までの所、このインフレートンの存在と素粒子物理を関連づける模型は存在していない。私達は、平成4年度に、右巻ニュートリノの超対称性のパートナーの右巻ニュートリノボソンが極めて自然にインフレーションを引き起すことを発見した。さらにこのボソンの崩壊により宇宙のレプトン数が生成され、そのレプトンが弱い相互作用の理論における非摂動効果により宇宙のバリオン数に変ることを示した。これは宇宙のバリオン数を説明する新しいモデルとして注目されている。また右巻ニュートリノの質量が10^<12>GeV程度であれば、COBEの発見した宇宙背景輻射のゆらぎの大きさ10^<-5>を説明できる。この右巻ニュートリノの質量は、太陽ニュートリノ問題の有望な解であるニュートリノ振動仮説と矛盾しないことを示した。
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