研究概要 |
1.理化学研究所に於いて入射エネルギ-21及び26MeV/核子の ^<40>Ar+Ni, ^<92>Mo, ^<122>Sn反応を用い、融合反応過程により作られる高温原子核の準位密度とE1巨大共鳴の励起エネルギ-依存性が中性子とγ線の測定により系統的に研究された。中性子のエネルギ-スペクトルは、励起エネルギ-250〜600MeVの領域に於いても準位密度パラメ-タa=A/(9±1)の値を用いて理解されることが示された。一方、GDR領域のγ線の収量は励起エネルギ-250MeV以上では増加しないことを見いだし、高温核のGDRガンマ線崩壊に限界温度のあることが確認された。この限界温度の質量依存性はT_c〜17A^<ー1/3>と現されることが示された。今後、この限界温度が高温での集団運動状態そのものの消失を示しているのか、あるいは高温核がガンマ線崩壊する以前に粒子崩壊により冷却されてしまうのかという点に関してより系統的な研究が必要である。 2.原子力研究所のタンデム加速器を用いて、巨大共鳴の励起エネルギ-と角運動量の依存性を調べることを目的に、入射エネルギ-150,180及び210MeVでの ^<100>Mo+ ^<32>S反応からの高エネルギ-γ線の測定を行った。その結果、GDRの共鳴幅は励起エネルギ-100MeV以上では熱的励起エネルギ-に大きく依存しており、1.で求めた共鳴幅の励起エネルギ-依存性の経験式Γ=4.5+0.035E_X+1.6×10^<ー8>E_X^4がこのエネルギ-領域からよく成り立つことが示された。
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