研究課題/領域番号 |
02640223
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松岡 武夫 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90022722)
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研究分担者 |
松田 正久 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (30111868)
沢田 昭二 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022546)
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キーワード | 超弦理論 / 共形不変性 / カラビ-ヤウのコンパクト化 / 超対称性 / 湯川結合 / Rパリティの破れ / ゲ-ジ階層 / 世代混合 |
研究概要 |
超弦理論は、4つの基本的力の統一だけでなく、力と物質と時空との統一をめざす高次元の理論である。4次元以外の余分な次元の空間がコンパクト化される結果として、4次元有効理論が得られる。この理論が量子論として矛盾をもたないためには、コンパクト空間は共形不変性をもち、適当な形に量子化されていることが要請される。低エネルギ-有効理論がもつ特徴は、このコンパクト空間の構造と極めて密接に結びつけている。本研究計画においては、共形不変な6次元多様体が、自発的変形を起こし、これに伴って、多様体の大域的対称性も自発的に破れるとの考え方を導入し、この場合の4次元有効理論の特徴及び低エネルギ-での新現象の予言等の課題に取り組んでいる。平成2年度においては、次のような点を明らかにした。 1.コンパクト化される多様体の幾何学を規定するモジュライ場と物質場との相互作用を調べ、共形不変な多様体の自発的変形により、4次元有効理論がどのように変化するかを求めた。その結果、陽子崩壊に関与するカイラル超場は10^<16>GeV程度と重く、陽子崩壊について実験デ-タと矛盾しない解を見い出した。さらに、この場合、くり込み群を用いてゲ-ジ結合定数の変化を調べ、この解がゲ-ジ階層も含め、低エネルギ-理論につながることを示した。 2.さらに、有効理論が標準模型の成功と矛盾しないためには、ヒグス粒子だけでなく、ニュ-トリノのスカラ-成分も又、有限の真空期待値を持たなくてはいけないことを思い出した。これは、Rパリティが破れることを意味している。この場合、100GeV領域で予想される現象領域でのチャ-ジ-ノ、ニュ-トラリ-ノと呼ばれるフェルミオンの質量スペクトラムを明らかにした。
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