研究概要 |
中高エネルギ-重イオン核反応の研究の課題:反応機講のエネルギ-上昇に伴う変化・移行の研究については,主として軽重イオン系について反応生成核の質量数分布を調べ反応相図の概要を明らかにした。又関与・傍観反応を分析するために入射核破粋での運動量分布を調べ中高エネルギ-領域での実験結果の特徴的様相の再現に成功した。入射核破粋反応での反応生成核のスピン偏極生成は我国の実験研究の大きい成果であるが,その実験結果の基本的性格の理論的再現にも成功した。反応機構と有効核力との関連の研究については,横方向への運動量の流れについて,核子当り100MeV以下の領域での流れの投方向への変化を含めたエネルギ-依存性について分析した。この結果,有限レンジの有核核力で平均場の運動量依存性の妥当な大きさを検現する核力の使用が実験の再現には不可欠であることを明らかとした。以上の諸研究と密接に関連して,高エネルギ-光子発生の研究および重い重イオン系での深部非弾性反応の研究についても研究を進展させた。 組み替え反応の研究:三体クラスタ-系の共鳴群法を用い,7核子系と6核子系の全反応断面積の問題を検討した。前者においては8核子系での経験に基ずき,d+ ^5He配位を従来のt+ ^4He,n+ ^6Li,n+ ^6<Li>^^^*の配位に加えることにより,散乱位相のずれの様相を大きく変えることなく全反応断面積の大幅な改善が得られることを明らかにした。後者においては重陽子の直接崩壊効果を取り入れるために1つの擬重陽子状態(d^*+αチャネル)を導入して,その効果とp+ ^5He,n+ ^5Liの2体クラスタ-配位による終状態相互作用の効果との関連を明らかにした。つまり,擬重陽子状態は低い部分波に対し重陽子クラスタ-の偏極効果を記述するため必要であるが,全反応断面積の再現には5体+1体的な準安定状態の効果が大変に重要である。
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