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1990 年度 実績報告書

複素正準理論に基づく量子重力理論とその宇宙論への応用

研究課題

研究課題/領域番号 02640228
研究機関京都大学

研究代表者

小玉 英雄  京都大学, 教養部, 助教授 (40161947)

キーワード量子重力 / 一般相対性理論 / 宇宙論 / 複素正準理論 / アシュチカ-形式 / ビアンキモデル
研究概要

本年度は、複素正準形成に基づく量子重力理論の定式化及び、申請者により見いだされたその基礎方程式に対する厳密解の振舞いを中心として研究した。これらの問題は、交付申請書に記載した課題の1)および2)に対応する。その成果として次のような新たな知見が得られた。
1.複素正準形式に基づく量子論では、形式的な量子化による得られる正準方程式と3脚場に対する実条件を両立させることは因難である。しかし、複素正準形成を3脚場に対する実正準形式の特別の表示と見なせば、基礎方程式は拘束条件のみとなり矛盾のない量子論が構成可能である。
2.上記の厳密解をビアンキIXセクタ-に制限した波動関数の準古典的振舞いは、一様等方な場合の解析から得られるものと定性的に一致し、ユ-クリッド時空からのロ-レンツ時空の創生という描像を与える。さらに、この場合の波動関数に対応するWKB軌道のうち厳密なロ-レンツ時空を与えるものは、一様等方なドジッタ-時空に限られる。
3.波動関数の正則表示のもとでは、正則性と漸近条件が物理的に自然な波動関数を選択する条件となる。この条件により選ばれた波動関数は、少なくとも空間的に一様なセクタ-ではHartleーHawkingによって提案されたものと一致している。
以上の結果はPhysical Review Dに発表された。交付申請書に記載した残りの課題については、現在研究が進行中である。また、以上の研究から、波動関数の物理的意味付けを与えるため、拘束条件を与えるオペレ-タ-と可換なオペレ-タ-の構造を研究することが必要であることに気づいた。この問題は今後の重要な研究課題であると考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Hideo Kodama: "Holomorphic wave function of the Universe" Physical Review D. 42. 2548-2565 (1990)

  • [文献書誌] 小玉 英雄: "相対論的宇宙論" 丸善株式会社, 238 (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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