研究概要 |
標準模型では,3世代のクォ-クを考えとCP不変性は一般に破れるが,これは小林・益川機構と呼ばれている.CPの破れはクォ-クとヒッグス粒子の結合である湯川相互作用が複素数に成っていることに起因し,3世代以上ではじめて現れる.CP不変性は初めから破れている理論である.これに対し,CP不変から出発しゲ-ジ対称性が自発的に破れると同時にCP対称性も破れる場合はCPが自発的に破れると呼ばれ,制限の強い予言性をもった理論と成る. 当研究ではCPが自発的に破れる模型を,右巻相互作用のある理論に基づいて構築した.この模型の新しい点は,軽い右巻ゲ-ジ粒子W_Rの可能性を調べた事である.実験と矛盾しない様に軽いW_Rを実現するためには,右巻相互作用に現れる混合行列V_Rが右巻相互作用の小林・益川行列V_Lと異なっていなければ矛盾する.我々はどの様な混合行列が許されるか種々の実験デ-タと比較し,500GeVぐらいの軽いW_Rが許されることを示した.また,標準模型と大変異なった予言も得た.例えば10^<-26>e cmともの大きな中性子の電気的双極子モ-メントやある場合にはB_Sメソンの崩壊で数10%もある大きなCP非対称性を予言しているB_Sメソンは崩壊での大きなCP非対称性の可能性は大変重要である.また軽いW_Rが存在すれば,フェルミ国立研究所などでも検出可能となる.検出方法に関しても研究を行っている.またこうした解析のための理論の精密化,特に長距離相互作用の効果などに関する解析を行った. また,保存則(不変性)の破れの観点から,何故,電荷保存則は天文学的な精度で保たれているのか大変興味のある問題である.この観点からニュ-トリノが電荷を持つようなミニ電荷非保存の模型を世界で初めて構築した.この模型では,光子の質量を大変小さく保ちながら,中性子やニュ-トリノが電荷を持つ事が出来る特徴を持つ.
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