研究課題/領域番号 |
02640230
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高杉 英一 大阪大学, 教養部, 教授 (00135633)
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研究分担者 |
栗本 猛 大阪大学, 教養部, 助手 (10195563)
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キーワード | 太陽ニュートリノ / ひねりのあるトロイダル磁場 / 太陽ニュートリノの季節変動 / ニュートリノの双極子モーメント / ヒッグス粒子の質量の上限 / 2つの二重項 / 重いクォークの有効相互作用 / カイラル対称性 |
研究概要 |
対称性の破れの起源を探るため、多方面からの研究を行った。特に(i)太陽ニュートリノの問題、(ii)ヒッグスに粒子の質量の上限、(iii)重いクォークや軽いクォークの束縛状態であるハドロンの相互作用の統一的理解について重点的に研究を行った。 (i)太陽中の磁場は、11年ごとの黒点対の極性の反転を説明するために、トロイダル磁場にひねりがあることが理論的に予言されている。我々は、ニュートリノが大きな磁気双極子モーメントをもっていれば、太陽ニュートリノを観測することによりこのひねりを調べることができることを示した。具体的には太陽磁場のひねりにより太陽ニュートリノのフラックスは春と秋とで変化する。この変動はホームステークの実験とよい一致を示し、また神岡の実験とも矛盾しないことを示した。 (ii)標準模型では対称性を自発的に破るヒッグス二重項は1個であるが、CPを自発的に破る理論や超対称性理論のように二重項が複数個ある可能性がある。二重項が2個ある場合ヒッグス粒子の質量の上限を摂動論が意味をもつ条件から求め、5個のヒッグス粒子のうち最も軽い粒子の質量の上限は1個の二重項の時の上限に比べ1/3倍であること、言いかえると、質量の上限は580GeVであることを示した。 (iii)軽いクォークからなるハドロン間に成り立つカイラル対称性と重いクォークのもつ対称性を同時に考慮することにより、π中間子からB中間子までまでのさまざまな質量をもつハドロンを統一的に記述するラグランジアンを構成した。この有効ラグランジアンを用いて、種々の崩壊過程を調べ、また小林・益川行列要素をハドロン模型によらずに決定する方法を指摘した。
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