研究課題/領域番号 |
02640230
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高杉 英一 大阪大学, 教養部, 教授 (00135633)
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研究分担者 |
栗本 猛 大阪大学, 教養部, 助手 (10195563)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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キーワード | CP対称性の自発的破れ / 右巻相互作用 / ハドロンの有効理論 / 電荷の非保存模型 / ニュートリノと中性子の電荷 / 太陽ニュートリノの季節変動 / ひねりのあるトロイダル磁場 / ヒッグスボソンの質量の上限 |
研究概要 |
対称性は物理学の多くの分野で重要な働きをするが、この対称性の破れの起源を探る目的で種々の観点から研究を行った。 (1)CP対称性の自発的破れの研究:標準模型を拡張しCP対称性が自発的に破れる模型を構築し、その理論の持つ新しい予言を調べた。持に右巻きゲージボソンW_Rの質量が400GeVぐらい軽い場合を考察し、CPの破れは主に右巻き相互作用に起因すること、Bsメソンの崩壊で大きなCPの破れの効果が期待されること等の結果を得た。 (2)ハドロン間の力学の有効理論の研究:クォーク間の相互作用をハドロン間の相互作用に焼き直すことは大変困難なしかし大変電要な問題である。カイラル力学や重いクォークの理論、またこれらを融合した理論を用いて、長距離効果や種々ハドロンの崩壊を調べた。 (3)電荷非保存の可能性の研究:標準模型をヒッグス2重項が2個と1重項が1個ある場合に拡張することにより電荷非保存が起こることを示した。その結果、ニュートリノ、中性子や原子は小さなしかし測定可能な程度の電荷をもってよいことが示された。 (4)太陽ニュートリノの研究:ニュートリノが大きな磁気双極子能率をもてば太陽内部の活動の探索手段となることを示した。特に、トロイダル磁場のひねりは太陽ニュートリノの季節変動を起こす。この季節変動は適当なひねりを仮定すると、ホームステークの実験結果をうまく再現し、また、神岡の実験とも矛盾しないことを示した。 (5)ヒッグス粒子の質量スペクトラムの研究:ヒッグス粒子の質量の上限をヒッグス2重項が2個ある場合に摂動論が有効である条件のもとに調べた。この模型で現れる4個のヒッグス粒子の内、最も軽いものの質量の上限は標準理論の場合の上限の1/√<3>になる、つまり上限は580GeVであることを示した。
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