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(1)2次元量子重力とマトリックス模型
2次元量子重力の非摂動的理論としての可能性が指摘されていたN×Nマトリックス模型に関し、Nを非常に大きく取ったときの振舞いを直交多項式による方法によって解析的・数値的両面から詳しく調べた。その結果、純粋重力理論に対応するとされていたマトリックス模型において、理論的に予測されていたスケ-リング領域が実際には存在せず、カオティックな振舞いをすることが判明した。
(2)ベき関数的インフレ-ション宇宙における量子揺らぎ
最近有望視されている、べき関数的インフレ-ション宇宙において、重力と一般に非極小結合するスカラ-場の量子揺らぎの長波長成分の振舞いを調べ、通常の指数関数的インフレ-ション宇宙の場合に比べて、その不安定性が増幅する事を示した。特に、マヨロン場によるバリオン数起源説では、その量子揺らぎによるバリオン数の非一様性のスペクトルが、極小等曲率揺らぎの構造形成シナリオにとって最も好都合であることが分かった。
(3)散逸を伴う量子トンネル現象の正準的定式化
宇宙における巨視的量子場のトンネル現象には、重力の役割とともに、トンネリングを起こす場と相互作用する様々な散逸的自由度が及ぼす影響を理解することが重要である。ところがこれまでの研究では、主にインスタントン解による手法によって、散逸的環境の影響が議論されていたため、場の励起状態のレベルの影響は無視されていた。そこで、励起状態の影響を正しく取り入れるための第一歩として、簡単な現象論的模型に関してトンネル現象の解析のための正準的定式化を与えた。
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