研究課題/領域番号 |
02640233
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤川 和男 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (30013436)
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研究分担者 |
上原 正三 京都大学, 基礎物理学研究所, 助手 (20168652)
久保 禮次郎 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (60034609)
久保 治輔 金沢大学, 教養部, 助教授
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キーワード | ゲ-ジ理論 / 量子重力 / 膜の理論 / 弦理論 / リ-マン面 |
研究概要 |
藤川及び久保(治)は、膜の量子論の基本的な側面の研究を進めた。南部・後藤の作用に基づく膜の理論は、ボゾン的な膜の場合は半古典論的扱いにおいては安定であり、超対称的な膜の場合には量子的効果を取り入れても不安定であると信じられてきた。もしこの結論が正しければ、超膜の理論の量子論は存在せず、従って、超弦理論に対応する応用は不可能ということになる。同時に超弦理論は唯一の相対論的に拡がった物体の理論ということにもなる。藤川と久保は、この問題を考えるに当り拡がった物体の理論が持つゲ-ジ対称性に着目して、その意味する所を理解することに努めた。このようなアプロ-チに基づき、空間の座標の一部が曲がって閉じた(コンパクトな)場合には、超膜理論が安定に存在できることを示した。同時に、ボゾン的な膜は量子効果でむしろ不安定化することも示した。更に、膜の理論の共変的な量子化の応用として、そこに現れるBRST対称性の意味するところを、膜の張力が大きい極限に限ってではあるが解明した。 久保(禮)は、阪大の尾島と共同して、リ-マン面上の場の理論をいわゆるKricheverーNovikov形式を使って考察した。この定式化は、リ-マン面の位相が自明でない場合に適用できることが特長であり、示性数(genus)が大きなリ-マン面上の場の理論の定式化をボゾン場の場合に与えた。 上原は、リ-マン面をス-パ-化した超リ-マン面の分類とその変形問題の考察を進めた。具体的には、ベルトラミ微分、タイヒミュラ-空間、及びモジュライ空間等を超対称化した場合における座標づけとかそのより詳細な特長づけを解明した。更に、シュワルツ微分方程式を超対称化した場合におけるいわゆるモノドロミ-群の詳細な分析を与えた。
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