アルカリ長石およびウイットロックカイト(βーCa_3(PO_4)_2)の熱ルミネッセンス(TLと以下、略記)特性を調べた。naturalのアルカル長石において、200℃から300℃にかけてTLグロ-ピ-クが観測された。特にマイクロクリン、アマゾナイト、オルソクレイスはにおいて、250℃から275℃にかけて特徴的なTLグロ-ピ-クが観測された。一方、X線照射したアルカル長石においては、80℃から200℃にかけてTLグロ-ピ-クが観測され、naturalのTLグロ-曲線において観測されたTLグロ-ピ-クは非常に小さく、観測されなかった。また、thermal cleaningによって80℃から350℃にかけて、80℃、110℃、170℃、230℃、300℃にTLグロ-ピ-クのあることが分かった。このように多くのTLが重なっていることが、anomalous fadingの原因となっているとも考えられる。アルカリ長石に特徴的な400nmから425nm付近にピ-クをもつ幅広い蛍光帯は、長石の構造からくるAlーO^ーーAl中心、AlO_4^<5ー>中心などによるものと考えられる。 マイクロクリン、アマゾナイト、アルバイトにおいて観測される275nmにピ-クをもつ蛍光帯は、長石に含まれているPb^<2+>イオンによるものではないかと考えられる。CeO_2添加Ca_3(PO_4)_2で観測される350nmにピ-クをもつ蛍光帯は、Ce^<3+>イオンによるものであり、反応式Ce^<4+'>+electron→Ce^<3+・>→Ce^<3+>+h_υ(350nm)によるものであろう。CeO_2とTm_2O_3をともに添加するとイオン間の相互作用により、TLグロ-ピ-ク強度が大きく変化することが分かった。
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