我々は、まず第一に、U_2PtSi_3の単結晶の育成を試み、これに成功した。この物質は、比較的重い有効質量(γ【similar or equal】200m^J/K^2moleV)を持つ興味ある化合物である。この物質の磁化を、80KUeまでの磁場中において測定した結果、磁化容易軸であるa軸方向に対しても 1μ_B/V以下の小さなモ-メントしか持たず、上に凸の、不飽和の磁化曲線を示している。また、常磁性領域において、磁化率の温度変化から見積られる、有効磁気モ-メントの大きさもμ_<eH>=2.1μ_Bと小さい。これに対し、上記2つの物理量の比、即ち(有効磁気モ-メントの大きさ)/(残留磁化の大きさ)は、10以上の大きな値をもっており、以上の事から、U_2PtSi_3は、遍歴的な弱い強磁性体であると考えられる。 しかし、残念ながら、磁場中における比熱の測定までは、遂行できなかった。(クライオスタットは完成しており、現在、温度計の較正を行っている。) もう一つの試みとして、ドハ-ス・ファンアルフェン効果の測定があげられる。我々は、試料として、SmSbをとりあげ、これらのdHvA効果の測定を行うことに成功した。この物質は、2.1Kに転移点をもつ反強磁性体であるが、我々は、この転移点の上下においてフェルミ面の形、大きさが不変であることを見い出した。また、有効質量を決定し、それが、転移点の上下で、大きく変化する事も明らかにした。これらの理由としては、電子ーマグノン相互作用が考えられるが、未だ明確ではない。
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