研究概要 |
1.超高真空型STM及びSTM搭載用電気化学反応装置の製作 粒子数を制御したマイクロクラスタ-の構造と電子状態密度測定のための、超高真空装置及び走査型トンネル顕微鏡(STM)を製作した。この真空装置は試料の真空中での作成、表面処理及び分析が可能である。またSTMは探針及び試料の交換が可能である。STMの動作確認は現在進行中である。また、電気化学反応によるマイクロクラスタ-の作成及びSTM観察のためのポテンショスタット及び電気化学反応セルも製作した。 2.真空蒸発による金属微粒子の作成とそのSTM観察 超高真空におけるマイクロクラスタ-の研究の前段階として、空気中用STM装置を用いて黒鉛表面上のAuマイクロクラスタ-及び薄膜の成長に関する研究を行った。これにより、直径約20オングストロ-ムのマイクロクラスタ-の原子像を観察できた。また、直径約50オングストロ-ムの球形の超微粒子を高密度(約3x10^<12>/cm^2)で作成することができた。超微粒子を真空蒸発法により固体表面上に作成するには、金属膜生成の初期における蒸着核の間のコアレッセンスの確率を低くするように、下地の温度及び真空度を制御する必要が示唆される結果を得た。金属薄膜の作成に関しては、金属薄膜のモルフォロジ-は基板温度に依存して、コンパクト、樹枝状など多様なパタ-ンを示すことがわかった。 3.電気化学反応によるマイクロクラスタ-の生成過程のSTM観察 黒鉛表面上におけるAg,Bi,Pbイオンの電気化学反応過程をSTMを用いてその場観察した。反応液体中での黒鉛原子像及び20ないし200オングストロ-ムの電析微粒子の電析及び脱離過程の像を得ることができた。これにより電気化学反応におけるサイクリックボルタモグラムとSTM像を対応させることができ、化学ポテンシャル及び反応速度による反応物(マイクロクラスタ-或は超微粒子)の制御の可能性を示すことができた。
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