研究概要 |
1.ESRの研究 1)Nd_2CuO_2のESR a)重フェルミオン物質と同様な強い電子相関をもつ高温超伝導物質Nd_<2ーX>Ce_XCuO_4の母結晶のESRを調べた.その結果,30K以下で非常にブロ-ドなスペクトルを発見した.これはNdスピンによるもので10K以下になるとg値が異常に減少し異方性が現れることを見いだした.10K以上の温度ではgの値は一定(0.85)で等方的であった.この値はNdの自由イオンの値に近い.また,10K以下で現れる異方性は[110]対称軸にもつ.これらの結果から,異常なgシフトはNdスピンによるものであることを明らかにした. [J.Phys.Soc.Jpn.59(1990)3019ー3020.] b)阪大伊達グル-プの強磁場磁化過程の研究により,1T以下でスピンフロップ磁場が見いだされた.Ndは約6Tで飽和する.しかし,低温での飽和磁場付近でのRoundingは大きくNdスピンとCuスピンの相互作用が無視できないことが明らかとなった. [J.Magn.Magn.Mat.90&91(1990)79ー80.] c)その後の研究でこの相互作用はNdスピンに作用するCuのStaggered Fieldであることが判明した.これをもとに,Nd_2CuO_4のESRを統一的に見直すと,先に発見されたESRはNdーCuネットワ-ク中のNdスピンの反強磁性共鳴であることが判った.また,g値の異常なふるまいはNdサイトにおけるCuスピンのStaggered Fieldによるものであることが理解できた. [J.Phys.Soc.Jpn.投稿中] 2.電気的性質の研究 購入したデジタルストレ-ジスコ-プやデジタルボルトメ-タを用いてパルス磁場下での電気抵抗測定装置を製作している.
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