研究概要 |
これまでCeSn_3の磁気抵抗とドハ-ス・ファンアルフェン効果から、フェルミ面の形状を(1)正孔フェルミ面は〈100〉方向にふくれた球状フェルミ面,(2)正孔と同数の電子フェルミ面は正六面体の頂点に球状フェルミ面をおき,それを柱状ア-ムで連結したフェルミ面と予想した。この結果は長谷川氏ら(新潟大)のバンド計算と完全に一致した。また我々の単純化したフェルミ面模型で説明のつかなかった軌道ブランチも完全に解析されるにいたった。この結果,CeSn_34f電子は完全に遍歴電子であることが実証された。次にCeSn_3の較正物質であるLaSn_3のドハ-ス・ファンアルフェン効果と磁気抵抗を測定した。この結果も長谷川氏らのバンド計算と完全に一致し,LaSn_3では正孔フェルミ面のみであり,磁気抵抗で見出されたオ-プン軌道も完全に説明された。以上のCeSn_3とLaSn_3に結著がついたので,RIn_3(R:希土類)の物質群に着手した。立方晶RIn_3はLaIn_3からYbIn_3まで連結して存在するので、4f電子の存在すなわち磁気秩序がフェルミ面の形状とサイクロトロン質量に及ぼす効果を研究した。LaIn_3,CeIn_3,PrIn_3,NdIn_3,GdIn_3まで研究は進展した。その結果,フェルミ面の形状は本質的には同じであるが,反強磁性状態では常磁性状態で見出せかったフェルミ面も検出された。特にNdIn_3では球状電子フェルミ面が、〈100〉方向ではほとんど影響を受けないが,〈110〉方では反強磁性態ではそのドハ-ス振動の振幅は小さく常磁性状態になって振幅が著しく増大することが見出された。我々は磁気ブリルアンゾ-ンを考慮して定性的に説明できることができた。サイクロトロン質量も決定され,近藤物質であるCeIn_3では約20m_0の重い電子を検出し,PrIn_3NdIn_3でもサイクロトロン質量は約2倍LaIn_3に比べて重いことを明らかにした。その他CeGa_2やウラン化合物でも研究が進展した。
|