1.フォトンエコ-の測定はこれまで、強度変調法を使って行われており、散乱の少ない光学的に透明な試料のみが測定対象であった。この研究により開発された位相変調法ではこの散乱は問題にならず半透明な試料でもエコ-の測定が可能になっている。また試料が完全に不透明な場合はその蛍光を測定することにより、エコ-信号が得られている。この方法の開発により測定対象が格段に広がっている。 2.この位相変調法を使って、生体物質でのエコ-の測定に成功した。水素置換したミオグロビンあるいはチトクロムCでの測定から、この系が電子格子相互作用の極めて弱い系であることが判った。その原因として、蛋白のポリペプチド鎖がつくる疎水的環境に色素が密に取り込まれていることが挙げられる。電子格子結合係数が極めて小さいことから100Kの高温においても零フォノン線が観測できた。 3.ラマン散乱、ホ-ルバ-ニング、フォトンエコ-の測定から、ポリマ-の持つ低周波振動モ-ドの状態密度についての情報が得られ、この状態密度はポリマ-がフラクタル構造をとると仮定することにより説明できた。またこのフォノンのビ-ク周波数には30(1/cm)の上限があること、水素結合を取るポリマ-ではこのピ-ク周波数が一般に高いことなどが判った。
|