研究概要 |
太陽系の諸天体は小天体が相互に衝突破壊を繰り返して成長してきたと考えられている。この研究では実験室で岩石などの小物体に二段式軽ガス銃をつかって0.2g程度のプロジェクタイルを衝突させて破壊実験を行い,飛び出してくる破片の速度の分布を決定することをねらっている。今年度は本実験のための装置の整備を行った。鮮明な画像を得るためにストロボ二台を発光させて破片の飛散状況の写真をとる。ただしプロジェクタイルがタ-ゲットに衝突した瞬間に強い発光が起こる。これによる露光をさけるために被写体とカメラの間にPZTシャッタ-を設けて,衝突による発光の終了直後に解放にする。PZTシャッタ-は500Vのパルスの印加によって開かれる。また衝突からのシャッタ-の解放のタイミング,2つのストロボの発光のタイミングと発光時間と時間差の調整などを行わねばならない。これらに必要な電子回路の製作およびテストを,予備的な衝突実験とともに行った。この実験で決定を予定している破片は100m/s以上の速度を持つものである。これにつながるさらに低速度の破片の速度分布も求めておく必要があるが,この計測には高速度駒撮カメラによって行う。これについてはすでにタ-ゲットをアルミナ球および玄武岩球として撮られたフィルムを解析,整理している。同様のタ-ゲットに対して次年度には今年度製作したストロボシステムを用いて衝突実験を行い実際の画像を得る予定である。さらに得られた画像は画像解析機にかけて速度の分布を決定する予定である。
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